平成25年度第28回海洋化学学術賞
平成25年度第28回海洋化学学術賞は,平成25年4月27日(土)京都大学百周年時計台記念館にて,大河内直彦氏ならびに加藤義久氏に授与されました.(アルバム)
大河内直彦氏
所属・職: 独立行政法人海洋研究開発機構・プログラムディレクター
略歴:
1990年 東京大学理学部地学科卒業
1995年 東京大学大学院理学系研究科地質学専攻博士課程修了(理学博士),京都大学生態学研究センター・日本学術振興会特別研究員
1996年 北海道大学低温科学研究所・助手
1999年 ウッズホール海洋研究所・博士研究員
2002年 海洋科学技術センター・研究員
2009年 海洋研究開発機構・プログラムディレクター
受賞題目: 海洋の生物地球化学システムの過去から現在にまつわる諸現象の解明
推薦理由: 大河内直彦氏は,地質時代から現世までの海洋の生物地球化学システムの解析に,有機物や同位体比を応用した斬新な手法を開発・導入し,画期的な成果を収めた.その成果は,1)白亜紀海洋無酸素事変の成因の解明,2)有機化合物の放射性年代を用いた海洋輸送プロセスの解明,3)クロロフィルdの普遍的存在の指摘,4)アミノ酸窒素同位体比を用いて,生態学的栄養段階を決定する方法の開発,5)古細菌による膜脂質成分のリサイクルの発見など多岐にわたる.よって同氏の業績は海洋化学学術賞に値すると認められた.
加藤義久氏
所属・職: 東海大学海洋学部・教授
略歴:
1974年3月 東海大学海洋学部海洋科学科卒業
1981年6月 東海大学大学院海洋科学研究科博士課程修了(理学博士)
1982年4月 東海大学海洋学部海洋科学科・助手
1998年4月 同・教授
受賞題目: 親生物元素から解読する海洋物質循環に関する研究
推薦理由: 加藤義久氏は,海水,間隙水,堆積物を対象とした海洋無機化学の研究を行ってきた.現場での観測研究に力を注ぎ,我が国の海洋観測の最前線で活躍してきた.代表的な成果は,1)大陸棚から,大陸斜面を経て外洋へ至る遷移元素の移行過程の解明,2)海水中バリウムの分布の解明と,Ba-Si/Nダイヤグラムに基づく新しい古海洋プロクシの提唱,3)相模湾堆積物中の天然放射性核種鉛210と人工放射性核種セシウム137の分布・動態の解明などである.さらに,同氏は,200名近い学生を育成するなど,海洋化学の教育においても大きな貢献をなしてきた.よって同氏の業績は海洋化学学術賞に値すると認められた.